平成30年3月

出発の意味

       校長 奥脇 千鶴子 

3月の別称は「弥生」。「弥」には、いよいよという意味、「生」には、生い茂るという意味があり、草木がいよいよ生い茂る月という言葉の詰まったものです。例年になく長く厳しかった寒さもようやく緩み始め、日中の陽射しの温かさに春を感じるようになりました。校庭のバラも芽吹き始めています。

いよいよ公立高校学力検査が明日、明後日に迫り3年生の進路開拓も大詰めを迎えます。進路を切り拓くことはとても大変なことです。しかし、苦労しながらもそれを乗り越えることで、生徒たちはひと回りもふた回りもたくましくなり、大人にまた一歩近づいていくのだと思います。入試ですから、必ずしも全員の第一志望が叶うとは限りません。でも、自分が入学する学校で一人ひとりがベストを尽くしてほしいと思います。また、1・2年生は3年生が築いた伝統を受け継ぎ、進級して与野南中学校をさらに前進させていく時を迎えました。

宮沢章二さんの詩『出発の意味』の中に、「〈進もう〉と決意するからこそ道がある 自分の道は自らの努力でしか歩けない それを身をもって確かめるための出発 意欲的に出発する行為によって それぞれが本当の〈希望〉に出合える」という一節があります。みなさん一人ひとりが1年間のまとめをしっかり行い、希望に出合うことを願っています。

保護者の皆様、地域の皆様におかれましては、この1年間、本校の教育活動に温かい御支援御協力をいただきありがとうございました。



2月に読んだ本

@「おにたのぼうし」あまんきみこ 文・いわさきちひろ 絵・ポプラ社 【節分にちなんで朝読書の時間に】

節分の夜、豆まきの音がしない一軒家に飛び込んだ鬼のおにたは、病気の母を看護する少女に出会います。おにたは節分のごちそうを届けたくて初めて人間の前に姿を現しましたが、鬼は悪い存在だと決めつける少女の一言で「おにだって、いろいろ あるのに。おにだって……」と、悲しみの中、姿を消すことになります。

A「あの路」山本けんぞう 文・いせひでこ 絵・平凡社 【朝礼で】

 少年は二人きりだったママが亡くなり、おばさんの家にひきとられます。新しく通い始めた学校で、いじめにもあいます。そんな少年の心のよりどころとなったのが、「あの路」に住む三本足の黒い犬でした。犬と少年は互いに寄り添うようにして生きていきます。少年は三本足の命から前を向くことを学びます。そして「あの路」を立ち去ることを決意します。「大丈夫さ。目をつむれば、あの路がある。きみがぼくを見ている」と。

B「魔法使いのチョコレートケーキ」マーガレット・マーヒー作・シャーリー・ヒューズ絵・石井桃子 訳

福音館書店【バレンタインメニューのコラボ給食】

 悪い魔法使いだと思われていた魔法使いが、木を育てながら自分にはチョコレートケーキ、木には肥料のケーキを用意してお茶をするうちに森が生まれ、子どもたちが次々に訪れるようになる、ほのぼのしたお話です。

C「蜜柑」芥川 龍之介 作・新潮社【朝読書の時間に】

  「私」は、三等切符で二等車両に乗り込んできた見すぼらしい小娘が、トンネルの中で窓を開ける無知・不作法に不快感を募らせます。しかし、トンネルを抜け出た線路際で、喚声を上げ手を振る男の子たちの上に、少女が投げ与えた蜜柑で全てを悟ります。奉公先に赴くところらしい少女と、見送る幼い弟たちとの心情が、乱落する鮮やかな蜜柑の色として焼きつけられ、「私」は退屈な人生をこの時わずかに忘れることができたのでした。100年前の小説ですから難しい表現もありますが、芥川龍之介の体験をもとに書かれた感動的な小説です。

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